GFPはもはや日常語 その3

田中研究ユニット

アミロイドは、βシートが積み重なった様なクロスβ構造を取るペプチドの事。正常な折り畳み構造を取らない蛋白質の中には、異常プリオン蛋白質の様に、正常な蛋白質αヘリックス構造をβシート構造に変えながら取り込んでいき、アミロイド繊維に成長するものがある。アミロイド繊維が分解されず細胞の中に蓄積されると、細胞自体が死んでしまう。狂牛病異常プリオン蛋白質が原因、という説が割と有力。

酵母異常プリオン蛋白質にもいくつか種類があるが、アミロイドが出来ても酵母が死なないタイプがある。ひょっとしたらその様な異常プリオンは生命活動にプラスに寄与している可能性もある。その様な機能性アミロイドを見つける事が出来れば、何せRNAを使わずに蛋白質だけで自己伝搬能力を持つので、色々面白い事が出来そう。

神経蛋白制御研究チーム

アルツハイマー病では、まず40代後半から神経細胞の外でβアミロイドの蓄積が始まり、その後70歳頃から神経細胞内にタウ蛋白質が蓄積されて認知障害が起こる。研究の結果、βアミロイドを分解するネプリライシンという酵素を発見。これは加齢とともに分泌が低下していく。更に調べてみると、ソマトスタチンというペプチドが、ネプリライシン活性を制御している事が判明した*1

山中研究ユニット

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の研究。遺伝性ALSのうち20%は、SOD1遺伝子*2の変異により引き起こされ、神経細胞内に異常蛋白質が蓄積される*3。ALSの場合は、神経細胞以外のグリア細胞などにも異常蛋白質が溜まっている。ALSを治療するために、正常な神経細胞を移植して再生させるのは非常に難しい。そこで神経細胞をいじるのではなく、周りのグリア細胞から変異Sod1蛋白質を除去してみた所、病気の進行を遅らせる事が出来た。

*1:http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2005/050321/index.html 参照

*2:スーパーオキシドディスムターゼ遺伝子の1種

*3:ユビキチン化されたTPB-43が原因という説もあるが、まだ良く分からない。