Escape from Noise その3
高瀬家資料館
『奇応丸というと樋屋奇応丸ってありますけど』
「ありますね、大阪のね」
『薬効に違いとかあるんでしょうか?』
「当家では随分前に製造は止めてましてね、もう分からないんですが同じだと思いますよ」
藤原氏の流れをくむ高瀬家は、「竒應丸」「神聖丹」「熊謄丸(?)」といった薬を製造しており、「竒應丸」は徳川家にも献上された。島崎藤村の姉・園が高瀬家14代目に嫁ぎ、高瀬家は小説「家」の舞台ともなった。どうでもいいけど、肝心の薬効ですが
小児かん虫諸病奇効の良剤
という位だから樋屋奇応丸と同じ気がする。ついでに木曽の日野奇応丸と比較。
樋屋奇応丸 (金粒) | 日野奇応丸 | 備考 | |
ジンコウ(沈香) | 19.560mg | 36mg | ジンチョウゲ科沈香が朽ちて出来る樹脂。 |
ジャコウ(麝香) | 1.056mg | 3mg | 雄のジャコウジカから取れる分泌物。 |
ゴオウ(牛黄) | 1.680mg | 5mg | 牛の胆石。 |
ニンジン(人参) | 58.224mg | 80mg | 多分、朝鮮人参。 |
ユウタン(熊胆) | 1.440mg | 3mg | 熊の胆嚢。 |
リュウノウ(龍脳) | ※注 | 2mg | 龍脳樹から出来る。 ※注:主成分、d-ボルネオールを含む |
薬効が一緒というのは間違いなさそう。