寅さんは野菊のような人だ 後編

矢切の渡し

料亭、川甚を過ぎる。この川甚は、夏目漱石彼岸過迄」や尾崎士郎「人生劇場」など、様々な小説に登場している有名な店らしい。江戸川に到着。草野球の野球場がいっぱいあるが、サッカー場が無い。観客席の芝生の上でチヂミを食べてみる。このチヂミ、生地の量が多過ぎ。野球場の脇を抜けると矢切の渡し

船乗り場は木を組んで作ったえらく質素なもの。小さな船乗り場に30人くらい並んでいる。船の定員が30人だったので乗れなくて一回休み。対岸は草木で覆われている。薄曇りの晴れでぽかぽか陽気。こんな所にこんなにのどかな所があるとは知らなかった。周りはとにかく静かで、時々ちゃぷっと水の音がする以外は、後ろのおばさん達がしゃべる声が聞こえるだけ。

「何かネギの匂いがしない?」

あ、それ俺のチヂミかもしんない。

細川たかしだっけ?『連れてー逃げてよー』」
「『矢切のー渡しー』、ってそれしか知らない。あっはっはっは」

渡し舟が1艘だけで頑張っていて非常に大変そうなので、2艘目が出動。急いでいたので、手漕ぎでは無くてエンジンを使って来た。渡し賃は大人100円。お釣りの無い様に用意する事。お客を乗せた後は、エンジンだと風情が無いので手漕ぎ。30人くらい、なんてこと無い感じで進む。

http://www.youtube.com/watch?v=XGUf1bEQLII

矢切

3分くらいで向こう岸、千葉県松戸市矢切に到着。伊藤左千夫野菊の墓』の舞台になった。更に矢切は葱の産地としても有名で、散策ルート「野菊のこみち」はネギ畑とキャベツ畑の隙間を通っていく。こみちにはダリアなども植えられていて、花には結構な数の蜂が群がっていた。この辺はCCDとは無縁だ。ついでに、唐辛子の実がなっているのを生まれて初めて見た。

西蓮寺には『野菊の墓』の文学碑があった。庚申塚の脇を通って、北総線矢切駅へ。矢切のマルエツで、サンマが1匹79円だったので買って帰る。

画像:A field of Welsh Onion, Yakiri, Matsudo, Chiba, Japan / Oct. 12 2008