イカ釣り船に米を鬻ぐ その6

加部島

海岸沿いをとぼとぼと。おみやげ処大漁広場に入ってみた。唐津で見かける甘夏ジュレー*1は、ここで製造されている様だ。夏みかんは余り好きでは無いが食べてみる。夏みかんの皮にゼリーが詰まっていて、ゼリーには軽い苦みが。柑橘系ゼリーはとしては苦いが、夏みかんとしては苦くない。一癖あるおいしさ。

レストランいか道楽。このネーミングって大丈夫か。看板は普通で、動くオブジェは付いてない。隣の建物は呼子海遊館。このネーミングも本当に大丈夫か。生け簀でイカが泳いでいるだけ。呼子町観光物産館。帰りは船で戻りたかったが、船の便は無い様だ。帰りのバスが来るまで後一時間。

田島神社は物産館の隣にあった。奈良時代もしくはそれ以前からある由緒ある神社。境内にある佐與姫神社には、松浦佐用姫の望夫石が祀られている。新羅任那侵攻に際し、宣化天皇の命で出征していった夫の大伴狭手彦(おおとものさでひこ)は、ちゃんと新羅を破り任那を復興して帰ってきたらしい。佐用姫伝説は、万葉集にも詠まれている。

http://www.yoyokaku.com/sub7-48.htm

  • 松浦潟 佐用姫の兒が 領巾振りし 山の名のみや 聞きつつ居らむ*2
  • 遠つ人 松浦佐用姫 夫恋に 領巾振りしより 負へる山の名
  • 山の名と 言ひ継げとかも 佐用姫が この山の上に 領巾を振りけむ
  • 万代に 語り継げとし この岳に 領巾振らしけむ 松浦佐用姫
  • 海原の 沖行く舟を 帰れとか 領巾振らしけむ 松浦佐用姫
  • ゆく舟を 振り留みかね いかばかり 恋しくありけむ 松浦佐用姫
  • 音に聞き 目にはいまだ見ず 佐用姫が 領巾振りきとふ 君松浦山

ひれ振る以外に何かないのか。看板が取れて停留所名が不明の、たぶん加部島杉浦からバスに乗る。

その1 2 3456 

*1:gelée

*2:松浦潟 = まつらがた、領巾 = ひれ、夫恋 = つまこひ、つまごひ、上 = へ、恋しく = こほしく