iii Exhibition 9

本郷三丁目東京大学赤門へ。「東京大学大学院学際情報学府東京大学大学院情報学環コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム 第9回制作展」。普段の研究を元にメディアアートを作ってみた、というものらしい。バンコクの正式名称*1並にタイトル長過ぎ。面白かったのは、

牛込陽介「structured creature」

「金属棒+熱伝導ワイヤ3本+形状記憶合金+ワイヤ1本」の組み合わせ。近接センサの前を人が横切ると、台の下からワイヤに熱がもにょもにょと伝わってくる。形状記憶合金でワイヤが引っ張られて棒がむくむくと立ち上がり、半正多面体のフラードーム(簡易版)が出来上がる。「ワイヤに触らないでください! 火傷しますから!」

宮田剛志+鈴木研究室「eco歩き」

CG上の物理シミュレーションゲーム。2枚の板に棒を通した物体があって、ボタンを押してシーソーを巧みに傾け、倒れない様にバランスを取りながら出来るだけ長い距離を歩かせる。謎の「?」ボタンを押すと、上から巨大な玉が落ちてきてすごい勢いでモデルが吹っ飛ぶ。システムとしてはちゃんと動いているが、どちらかというと粗削りな造り込みっぷりがいい。

岩渕正樹+筧康明+苗村健「LimpiDual Touch」

インタラクション2008で発表したシステムの応用。無機ELパネル+タッチパネルを2つ貼り合わせ、2人で向かい合ってゲーム。画面をタッチすると、その位置からバスケットボールをシュート。向こう側の籠にたくさん入れた方が勝ち。相手のボールが入らない様に籠を動かす事が出来る。完成度高い。

思った事

メディアアートに仕上げる、という考え方自体は悪くは無いと思うが、良くある普通のメディアアートで終わってしまっている作品が多い。展示で使われている技術も、メディアアートで普通に使われている技術だったりする。無理にメディアアートの文脈に適応しなくていいのに。ゲームとして良く出来ている展示が面白かったが、面白くしようとするとゲームになってしまう、というのもそれはそれで問題か。

雨の為、屋外展示は殆ど動かず。調整中でうまく動いていない展示もちらほら。技術が足りなくてコンセプト倒れ、というのだったら観客側の想像でなんとか補えるが、コンセプト自体が倒れていると厳しい。難しいコンセプトを考えたまではいいが、展示をみてもさっぱりコンセプトが分からない物も。出来の悪いメディアアートを無理に真似なくていいのに。

完成度が低くてもいいので、メディアアートに新しい息吹を吹き込む技術を志して欲しい。

画像:iii Exhibition, Tokyo University, Hongo, Tokyo, Japan / Jun. 22 2008

*1:กรุงเทพมหานคร บวรรัตนโกสินทร์ มหินทรายุธยามหาดิลก ภพนพรัตน์ ราชธานีบุรีรมย์ อุดมราชนิเวศน์ มหาสถาน อมรพิมาน อวตารสถิต สักกะทัตติยวิษณุกรรมประสิทธิ์