「ダンボールハウス」長嶋千聡

建築学科の卒業論文のテーマは、路上生活者のダンボールハウス

「ダンボールハウス」(ポプラ社)2005/09/10発行

という、ものすごいテーマを選んでしまった著者が2年9ヶ月に渡る調査結果をまとめた本。ハウスの住人達と「夜な夜な豚足を肴に酒を酌み交わし」つつ調査。後書きにも出てくるが、調査中に彼女がホームレスのおじさんとできてしまって失恋(略奪愛)という、すごいドラマが*1

ダンボールハウスというものの、一般的には段ボールは基礎部分に少々使う程度で、余り使われない様だ。基本的には、木製パレットに段ボールやベニア板を載せた物が基礎になる。角材で骨組みを作りベニヤ板で壁と屋根を形成、最後にビニールシートをかぶせてロープで固定。施工費は材料を拾い集めて0円で済ませる事も可能だが、一般的には5000円前後。

  • 「家主から依頼を受けてダンボールハウスを作る」専門の職人がいる
  • 木製パレットを壁に使い、壁でハウスを支える2x4的な工法がみられる
  • ハウスの賃貸契約の事例

とてもホームレスの人達の話とは思えん。

この本、文章がとてもうまい。著者は若いのだが、ただ者ではない。お薦め。

調査は名古屋市の公園を中心に行われたが、これらのハウスは愛知万博の準備を期に2004年5月頃からことごとく強制撤去されてしまって今はもう無くなってしまった。

*1:ノンフィクション