愛についてのキンゼイ・レポート
キンゼイ・レポートの存在を知ったのは、中学生の頃に父の部屋で週刊ポストのお色気記事を盗み読みしていた時だったと思う。アメリカ人女性の何パーセントがほにゃららといった性行動調査なのだが、この度映画化 ?!
「Kinsey」(2004 Qwerty Films / Fox Searchlight)Dir: Bill Condon
と思ったら、そのAlfred Kinseyの伝記映画だった。元々は動物学者で、性行動調査を行う以前は20年かけてタマバチ(cynipidae / gall wasp)を研究していた。
ちなみにタマバチは年二回発生するらしい。春に出てくる世代はオスもメスもいて有性生殖を行うが、秋に出てくる次の世代は全てメスで、無性生殖で卵を産む様だ。ちなみにアブラムシの場合は数世代続けて無性生殖でメスが生まれた後、一世代だけオスとメス両方生まれる。
映画の方は、お決まりのストーリーなのだが、何せ題材が題材なので
- 青年期の父への反抗、老いた父との和解
→ 父に性体験調査のインタビュー - 妻との愛、妻への裏切り、三角関係(バトルロイヤル)
→ 博士と弟子一号*1で調査旅行
→ 弟子一号(♂)「したいですか?」
→ 濃厚なラブシーン
→ 妻に洗いざらい話す → 妻はショックで号泣
→ 以前にも生徒(♂)をつまみ食いしていた?*2事が発覚、開き直る
→ 挿入歌「浪速恋しぐれ」*3
→ 博士公認で妻と弟子一号が関係 → スタッフ家族間で交換 - 成功と挫折
→ 絶望して自分で割礼してみる
こうしてみると変な映画に思えるが、実際の所、感動的な良い映画だった(本当だってば)。
Kinsey夫人(Clara McMillen)を演じたLaura Linneyが魅力的で、見とれているうちに映画が終わってしまった。役柄自体も、ピューリタン的な思想に捕らわれないリベラルな考え方を持った、明るく良識的な女性で好感が持てる。女子学生時代を演じていたのはかなり無茶だったのだが。
Alfred Kinsey役のLiam Neesonは大熱演で、使命感とバイタリティに溢れ、時に頑迷で、時に感情をコントロール出来ず、時に感覚が麻痺していて良識を逸脱してしまう、優しいけど少し壊れた人物を見事に演じ切っている。
性行動調査のインタビューはストーリーの要所要所で重要な位置を占めているのだが、重要で極端な局面でだけ使われていて、通常のインタビューの内容がどの様なものだったかが余り描かれていない。その辺はラッシュフィルムで駆け足になっている。ユーモア溢れるいい台詞もあっただけに、もう少しのんびり描いて欲しかった。
初老の女性に「マスターベーションの経験はありますか?」「あら、あたしが発明したのよ」