水と油「移動の法則」

前回、「スケジュール」を観た時の感想は id:plank:20040622 で紹介しています。

昨日、初台の新国立劇場まで水と油の公演を観に行く。何とか当日券にありついた。

今回の会場は舞台も観やすく、舞台照明装置も充実していた。チケットも高めだけど。今まで観た公演に比べ、とにかくライティングの表現が抜群に素晴らしかった。今回の公演のハイライトだと思ったのは、セットの壁を各メンバーが動かして舞台を様々に再構築しつつ、壁の並びから3人で出てくる揃いの演技ともう1人(じゅんじゅん)の演技との2つの世界の交錯する場面。ここにライティングの効果が加わり、セットがモノトーン以上にモノトーンに見え、超現実以上に超現実的な。

さすがにここまでの照明は他の劇場には無いので、よその会場ではやりにくそうだ。せっかく素晴らしい照明があるので、メンバー自身の影をうまく使った表現も入れて行けばいいのにと思った。

横にスイングする振幅運動をビリヤード台の上と下の2人で演技していた場面があったが、この辺は今まで余り認識しなかった「リズム」を感じさせた。すぐ次の場面に行ってしまったが、こういった表現ももっと発展させていって欲しい。今回の公演でもいくつか寸劇が入ったが、今までに比べて笑いが素直になった気がする。以前は、エスプリが利いているのだが後一息で笑い出せなかった所もあったが、今回ネタがこなれて来て素直に笑える様になった。

「スケジュール」の時のハイライトの演技は、どうしても4人が一カ所に固まってしまってこじんまりした印象だった。今回は最後に近い場面で4人がお互いの間隔をいつもより大きく開け、いつもよりゆっくり歩きながら連携した演技をしていたが、これは良いと思った。その場面の演技はハイライトという訳では無かったけど。

水と油のパフォーマンスは『力学』『相互作用』みたいなキーワードを感じさせてくれるので、今回の公演のタイトル「移動の法則」は、彼らにぴったりのいいタイトルだと思った。しかし、今回の公演全体から今までに増して「移動の法則」を感じるというとそういう訳では無かった。タイトルから公演のテーマが感じられないのは毎回そうなのだが、ちょっと残念。