フォッグ・オブ・ウォー

「THE FOG OF WAR」(2003 Sony Pictures Classics)Dir: Errol Morris
華氏911を見に行くのもいまいちMichael Mooreがお腹いっぱいな気がしたので、こっちの映画を観てきた。キューバ危機、ベトナム戦争第三次中東戦争の国防長官Robert Strange McNamaraへのインタビューで構成されたドキュメンタリー。切れ者でインタビューにはとにかく圧倒される。当時85歳なのに激しくパワフル。マクナマラは森光子を超えた。

最初のキューバ危機あたりでちょっとうとうとしたのでリモコンで2,3秒戻したかったがリモコンが無かった。Philip Glassの音楽が眠気を誘う。キューバ危機は敵の意図を汲み取って回避する事が出来たが、ベトナム戦争の時には意図を完全に読み違えて方針を誤った。この辺りのエピソードは非常に興味深い。東京大空襲の爆撃プランに対するルメイ指揮官とのやり取りや、ベトナム戦争を巡るジョンソン大統領との対立は、もし解決出来ていれば犠牲を劇的に抑える事が出来た分岐点だったが、そこで暴走を止められなかったもどかしさは、どうも見ていて身につまされる。

2001年春から作業を始めていて、911同時多発テロイラク戦争とは無関係に進められたプロジェクトだが、結果的に怖いほどタイムリーな主題になってしまった。アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー賞マイケル・ムーアの翌年(2003年)受賞。Sony Picturesってフックとラストアクションヒーローとスパイダーマンばっかりで、古典的名作といえばアラビアのロレンスチャーリーズ・エンジェル位しかないけれども(偏った意見)、この映画は面白かった。マイケル・ムーア観に行かなくて良かった。